《映画評》 しあわせのかおり ★★★☆☆
地味な映画だしあまり期待してなかったんですが、すごく丁寧につくられていました。ストーリーはベタベタだけど、調理シーンや出てくる料理がおいしそうで楽しい。登場人物のせりふや間もリアル。最近よくある「ゆるい映画好き」マーケットを狙った作品とは一線を画すると思います。
以下、ネタバレを含みますので未見の方はご注意ください。
ストーリー的には、脳梗塞で調理ができなくなった料理人の王さん(藤竜也)と、デパートを辞めて彼に弟子入りする女性(中谷美紀)との師弟関係が基本となります。なので当然、たくさんの料理が出てくるし、調理シーンもわんさか。
藤竜也も中谷美紀も料理人として自然に見えました。ちゃんと練習しはったんやろなーと感心・・・。「ちゃんと本人が中華鍋ふってますよ!ほらほら!」とアピールするようなシーンもたくさんありました。
そして、観終わった後に私は王将に行きました。あはは。本当はもっとそれっぽい中華料理屋さんに行きたかったんだけど、まあ近場で王将・・・。やはり中華が食べたくなるんですよねー。作中に登場したトマト卵炒めもさっそく作ってみたのでした。
キャストはちょい役で渡辺いっけいが出ていたり、けっこう豪華。山田雅人が出てたのは、裏刑事での藤竜也繋がりなのかなあ・・・。平泉成なんて出番短いんだけど、おいしそうに食べる演技はさすがでした。
もちろん、細かいツッコミどころはあるんですけどね。例えば、主人公たちが上海と紹興に出かけるくだりは、ちょっと長かったかな・・・。中国ロケを思い切って敢行したら、使いたくなるような風景が多くて長めに入れてしまったんやろか。そんな邪推をしてみたり。
最初に中谷美紀が毎日通ってランチを食べるシーンも、ちょっと不自然。デパートが出店を要請するような評判のお店なんやったら、ランチ時にはもっと行列ができてるやろ。作中では全然並んでなかったし、もちろん相席でもなかった。もう少し混んだ店にしてもよかったと思うけどな。
ラストの食事会も、なんだか会話が楽しくなさそう・・・。いきなり歌いだした娘の度胸にもびっくりでした。声楽やってる子ってあんなに度胸あるんやろか。
あと、あまり関係ない話なんですが、作品を観ながら、漫才師のオール巨人と、師匠だった岡八朗のエピソードを思い出しました。ウィキペディアで読んだエピソードなので、本当かどうかはよくわからないんですが、せっかくなので紹介してみます。
吉本新喜劇のスターだった岡八朗に弟子入りしたオール巨人は、岡に厳しく鍛えられ、漫才師として成功を収めます。ところが、その後師匠の岡は脳挫傷で倒れ、後遺症として記憶障害が残ってしまう。
記憶障害のリハビリをしつつ、岡八朗は娘との漫才で舞台復帰を目指しますが、その際にサポートしたのが弟子のオール巨人。以下にウィキペディアの記述を載せてみます。
岡の舞台復帰の際は、娘との漫才のサポートを懇願され、事故の後遺症でなかなか台本を覚えられない岡にダメ出しをするなど、漫才に対して厳しい姿勢を見せながらも、衰えた師匠の姿に密かに号泣するなど、深い師弟愛と芸に対する厳しさの両面を見せた。
なんか、めっちゃ感動する話じゃないですか?厳しい姿勢を見せたのは、過去に自分が師匠から厳しく指導されたからだと思うし、「病気なんだから」とお客さんの前で妥協することは、きっと師匠の教えに反することだったんでしょう。私はこういう話に弱い・・・映画化されたら泣くかも・・・。
話がめっちゃ逸れましたが、作中でも私は何度か泣きそうになりました。藤竜也ってこんなに味のある役者さんだったんですね・・・。緩急も間も表情もすごくよかったです。映画を観ながら、何かを一生懸命頑張るっていいなーとも思いました。興味がある方はぜひ。
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コメント
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こんばんは!
ブログ楽しく拝見させていただいてました。
中谷美紀が藤原竜也の弟子に??って思ったら、藤竜也でした
あの渋い俳優さんでしたか。
最近、ゆる〜い感じの映画って多いですよね〜。
「かもめ食堂」とか…。
私も映画観た後はシナモンロール作っちゃったりしてたんで、王将に行く気持ちわかります(笑)
その、ゆる〜い映画好きな友達がいるのですが、お茶を注ぐときのコポコポって音や、食器のカシャッって音なんかが大好きなんだそうです。
でも私は雰囲気じゃなくて心に残る映画が好きです・・・。
またオススメの映画があったら書いてくださいネ。
投稿: noah | 2012年2月14日 (火) 22時43分
noahさま。コメントありがとうございます~。
ゆるーい映画多いですよね~。私は「かもめ食堂」と「ホノカアボーイ」は観ました。
後者はちょっときつかったかな・・・。なんか「お前らはこんな感じが好きなんやろ」って
寄せ集めてつくったみたいな映画で。
ゆるい映画好き、という一定のマーケットがあるんでしょうね。
「しあわせのパン」なんかもその部類だろうし。
でも、ゆるい映画の風潮はともかく、映画に出てきたごはんをつくったりするのは
大好きなんです・・・。レシピを検索したりします~。
藤原竜也と藤竜也は大違いですね・・・。竜雷太と峰竜太も・・・。
投稿: ahotsuka | 2012年2月14日 (火) 23時41分
ホノカアボーイそのゆる〜い映画好きの友達が大絶賛してて観ましたよ

あと「めがね」だの「プール」だの
「マザーウォーター」は映画館まで付き添うハメに…
思うに、お洒落な雑貨やカフェ好きの人が好む映画だと分析してました(笑)
「ぐるりのこと」は観ましたか?
あれはちょっと泣けたかも…
投稿: noah | 2012年2月15日 (水) 00時27分
「マザーウォーター」と「めがね」「プール」はまだ観てないんです~。
てか、noahさんめっちゃゆるい映画観てますね・・・。
確かに、お洒落な雑貨店やカフェ好きの人向けですよね。
昔の「ナヴィの恋」あたりまではそれもよかったけど、
ちょっと最近は露骨な気がします。いかにも狙ってるというか・・・。
「ぐるりのこと」もまだなんです。今度観てみますね~。
投稿: ahotsuka | 2012年2月16日 (木) 00時43分
いつも丁寧にコメントのお返事くださってありがとうございます!
岡村靖幸の記事で共感し、他の記事もとても読みやすく面白かったもので「更新願います!」なんて書いちゃったのですが、プレッシャーかけちゃったかな…ってちょっと気になっていたのです
これからも「気まぐれ」でよろしくお願いしますネ。
投稿: noah | 2012年2月16日 (木) 20時42分
noahさま。コメントありがとうございます~。
あ、更新は相変わらず気まぐれなのでお気になさらず・・・。
夏休みの宿題も「毎日少しずつ」なんてできないタイプでした~。
進研ゼミもためました。
気持ちの浮き沈みも激しいので、好きな人に嫌われたりもしました・・・。
懲りずにきてくださいね~。
投稿: ahotsuka | 2012年3月 1日 (木) 06時59分
ahothukaさん、こんばんは〜。懲りずにきましたよ(笑)
今日はお知らせしたいことがあって。
う〜ん・・・
)
エッグタルト!ローソンのSweetSコーナーにありました。
レアな食べ物なのかな、と思ってお知らせしなきゃと…。
味は…正直フツーでしたが…。パイのとこがサクサクしてなくて
でもまあ、コンビニスウィーツですからね。
コンビニのSweetSって入れ替わりが早いのでまだ販売してるかわからないですが、見つけたら食べてみてくださいね〜(イマイチだったのにおすすめするっていう・・・
気持ちの浮き沈みが激しいって、女の人みたいですね
私は公文が続きませんでした〜…。
投稿: noah | 2012年3月15日 (木) 00時10分
noahさま、こんばんは~。
エッグタルト最近来てますよね!
スシローのメニューにもあるし!ケンタッキーのはおいしくないけど・・・。
ローソンにもあるなんて~定着しつつあるのだろうか。
でもあんまりおいしくないんですよね・・・。
あ、公文は私はしてなかったです~。あれめっちゃ計算させられるんですよね。
全然関係ないけど、公文式を考えた人は公文公(くもんとおる)という人
なんですが、なんであえて苗字とかぶる名前にしたんでしょうね・・・。
日本マクドナルド創業者の藤田田氏なんかも同じ部類・・・。
投稿: ahotsuka | 2012年3月21日 (水) 22時36分