人参神話と脱人参
脱原発の次の課題として、脱人参を唱えたいと思います。
私はときどきカレーライスを作ったり食べたりしますが、今まではなぜか「カレーが大好き!」と言い切ることができない自分がいました。確かにおいしいんだけど、何かがひっかかる。どうしてかなあと思っていたんですが、今日その理由が判明しました。人参を入れずにつくったカレーがめっちゃおいしかったんです。
そうか、今までカレーのおいしさを阻害していたのは人参の存在だったのか。
カレーに限らないことですが、私たちはちょっと人参を過大評価しているような気がします。食材が乏しかった大昔ならともかく、今はさまざまな野菜が作られているし、海外から輸入されていたりもします。そんな中で、あえて人参にこだわる必要があるのかどうか。栄養面での再検証が必要なのではないかと。
てなわけで、栄養面を少し調べてみました。人参に含まれる栄養分として最も有名なのがカロテンです。私が持っている五訂版の食品標準成分表(ちょっと古いんですが)によると、人参には確かにカロテンが豊富で、皮むき・ゆでの場合、可食部100グラムあたり8600μグラム含まれています。
でも、カロテンは茹でたモロヘイヤには6600μグラム含まれているし、茹でた春菊には5300μグラム含まれています。カロテンは何も人参が独占しているわけではないんですよ。人参から摂るのが効率的かもしれませんが、いくらでも代替食材は存在しているし、嫌いな人はそちらから摂れば済む話です。もちろん、人参に含まれるカロテン以外の栄養分についても同様に。
βカロテンを多く含む野菜の総称として「緑黄色野菜」なんていう言葉がありますが、個人的にはずっと疑問を感じていました。緑色の野菜が大切というのは何となく理解できるんですよね。ネギだのニラだのほうれん草だの小松菜だのとたくさん選択肢はあるし、それらを食生活に取り入れるのは大切だと思う。
でも、黄色の野菜ってかぼちゃか人参しかないような・・・。「緑黄色野菜を毎日しっかり食べよう」なんて言われたら、かぼちゃか人参のどちらかを、毎日必ず食べなければならないわけで・・・。そこまで重要なのかは甚だ疑問です。
「うちの子が人参を食べなくて困る」なんて愚痴をこぼすお母さんがいますが、いったい何をお困りなのでしょう?何か具体的な健康被害でも出ているのでしょうか?人参がだめだったら人参以外を食べさせたら済む話だし、そもそも人参の料理を作らなかったらいいじゃないですか。
「子どもがモロヘイヤを食べなくて困る」なんていう話はほとんど聞いたことないですよ。なんでモロヘイヤが嫌いなのはOKで、人参が嫌いなのはだめなの?その点に疑問を持つ人がいないのが信じられない。
そうだ。きっと政官財学、いや政官農学が合体した人参ムラが存在しているのだ。私たちはきっと長い間、人参がなければ生きていけないと思い込まされてきたのだ。本当は人参なんて食べなくても生きていけるのに。なに?人参が嫌ならもう野菜を食べるな?冗談じゃない。そんな脅し文句に負けてたまるか!
・・・まあ、人参ムラとまで考えるのは極端ですが、なんとなく「人参は健康に不可欠」だと思い込まされてきた面はあると思います。「人参全廃・人参再収穫反対」を訴えるのはちょっとやりすぎですが、少なくとも過大評価はやめて、他の野菜と同等に扱うべきではないかと思っています。
あ、ちなみに私は人参が大嫌いですよ。もちろん脱人参の提唱にはかなり私怨が入っています。でも、過大評価とか既得権益を疑う目は必要だと思うな~。